「僕を止めないで」と繰り返す声に、もう一人が「帰ってきて」「少し落ち着いて」と返す。デュエット版の「Rein Me In」は、立ち止まると痛む人と、その人を抱きとめたい人の距離を二つの声で描く。
Sam Fender & Olivia Dean「Rein Me In」公式動画をYouTubeで見る
歌詞・和訳
歌詞と和訳
Verse 1: Sam Fender
I let go of everything I ever had
僕は、持っていたものを全部手放した
'Cause I couldn't give the love you deserved
君にふさわしい愛を返せなかったから
By The Gunner, you shouted, "Oh my God"
ザ・ガナーのそばで、君は「なんてこと」と叫んだ
It seemed churlish, but it's what I was owed, I suppose
無礼に思えたけど、僕が受けて当然の言葉だったのかもしれない
Every flagstone of this town bears our prints
この街の敷石には、どこにも僕らの足跡が残っている
And all the bars round here serve my ghosts and carcasses
この辺のバーはどこも、僕の亡霊と抜け殻に酒を出す
I wish I knew these things when I was young
若いころに、これを分かっていたら
'Cause now I've just grown so numb
今の僕は、もう何も感じられない
Pre-Chorus: Sam Fender
We take whatever we can to get the reason back
理由を取り戻そうと、手に入るものにすがる
So please don't rein me in
だからお願い、僕を抑え込まないで
Chorus: Sam Fender
Don't rein me in
僕を抑え込まないで
Please don't rein me in
お願いだから、僕を抑え込まないで
I'm working myself up to a nice, warm bliss
温かく心地よい幸福へ、必死に気持ちを高めている
All my memories of you ring like tinnitus
君との記憶が、耳鳴りのように響き続ける
If I stop, it's just pain, please don't rein me in
立ち止まれば痛みしかない、どうか僕を抑え込まないで
Verse 2: Olivia Dean
There's nothing brave in walking alone
一人で歩くことが、勇気だなんて思わない
Love in exile has nowhere to go, so come on home
追いやられた愛には行き場がない、だから帰ってきて
Mm, don't run away from my tenderness
ねえ、私の優しさから逃げないで
You're so afraid of that heart inside of your chest
胸の奥のその心を、あなたは怖がっている
We were doing so well, but you were scared to be held
二人はうまくやれていたのに、抱きしめられるのが怖かった
Took the easiest way out
いちばん楽な逃げ道を選んだ
I see the tears of a man too proud to reach for a hand
誰かに手を伸ばせないほど、意地を張るあなたの涙が見える
Well, let my love keep you safe now
今は私の愛に、あなたを守らせて
So please don't
だから、お願い、もう……
Chorus: Sam Fender & Olivia Dean, Sam Fender
Don't rein me in
僕を抑え込まないで
Please don't rein me in
お願いだから、僕を抑え込まないで
Now I'm working myself up to a nice, warm bliss
今、温かく心地よい幸福へ、必死に気持ちを高めている
All my memories of you ring like tinnitus
君との記憶が、耳鳴りのように響き続ける
If I stop, it's just pain, please don't rein me in
立ち止まれば痛みしかない、どうか僕を抑え込まないで
Bridge: Sam Fender & Olivia Dean
And I'm, I'm stood here chewing everyone's lugs off
僕はここで、周りの人の耳にたこができるほどしゃべっている
Telling everybody how much I fucked it up
自分がどれほど台無しにしたか、誰にでも話している
Telling everybody how much I fucked it up
自分がどれほど台無しにしたか、誰にでも話している
Telling everybody but you how much I fucked it up
君以外の誰にでも、どれほど台無しにしたか話している
Slow down (Don't rein me in)
少し落ち着いて(僕を抑え込まないで)
Slow down (Don't rein me in)
少し落ち着いて(僕を抑え込まないで)
Oh
ああ
Chorus: Both, Sam Fender, Olivia Dean
Now I'm working myself up to a nice, warm bliss
今、温かく心地よい幸福へ、必死に気持ちを高めている
All my memories of you ring like tinnitus
君との記憶が、耳鳴りのように響き続ける
If I stop, it's just pain, please don't rein me in
立ち止まれば痛みしかない、どうか僕を抑え込まないで
Now I'm working myself up to a nice, warm bliss (Working myself)
今、温かく心地よい幸福へ、必死に気持ちを高めている(気持ちを高めて)
All my memories of you ring like tinnitus (My memories of you)
君との記憶が、耳鳴りのように響き続ける(君との記憶が)
If I stop, it's just pain, please don't rein me in
立ち止まれば痛みしかない、どうか僕を抑え込まないで
歌詞を深く読む
If I stop, it's just pain, please don't rein me in
立ち止まれば痛みしかない、どうか僕を抑え込まないで
手綱の「rein」が、同じ言葉を別の願いにする
「rein」は馬を制御する手綱のこと。「rein me in」は、勢いづく自分を抑える、引き戻すという比喩になる。Sam Fenderのパートでは「If I stop, it's just pain」と理由が示される。立ち止まると痛みだけが残るから、走り続けたい。和訳の「抑え込まないで」は、その切迫を残すための選択だ。相手が邪魔をしていると断定する言葉ではなく、止まることへの恐れが先にある。
Olivia Deanのパートは「come on home」「don't run away from my tenderness」と、逃げる人へ向けた呼びかけになる。ブリッジでは「Slow down」に「Don't rein me in」が重なり、少し速度を落としてほしい声と、止めないでほしい声が同時に聞こえる。片方が正しいという結論より、同じ速さで進めない二人のすれ違いが、デュエットによってはっきりする。
街に残る足跡と、耳鳴りになる記憶
前半の「Every flagstone of this town bears our prints」では、街の石畳の一枚一枚が二人の痕跡を持つ。続くバーには「my ghosts and carcasses」が出入りする。「亡霊と抜け殻」はそのままの怪談ではなく、過去の自分が街のいたるところに残るような言い方だ。固有名「The Gunner」を場所の手がかりとして残しつつ、そこで何が起きたかは歌詞以上に作らない。
サビの「tinnitus」は耳鳴りで、意識して思い出そうとしなくても鳴り続ける感覚を呼ぶ。「memories of you」がそれにたとえられるため、思い出は懐かしい背景ではなく、離れても消えない音になる。「nice, warm bliss」へ自分を高めようとしても、記憶は静まらない。何を使って幸福を得ようとしているのかは歌詞にないので、和訳でも方法を決めつけず、気持ちを高める苦しさに絞った。
「everybody but you」が残す、一人への沈黙
ブリッジの「chewing everyone's lugs off」は、人の耳が疲れるほどしゃべり続けるというくだけた言い方。何度も「how much I fucked it up」と、自分が台無しにしたことを繰り返す。ところが最後だけ「everybody but you」になる。誰にでも失敗を話せるのに、その相手本人にはまだ言えていない。反復が一語の「but」で反転し、この歌の距離をむき出しにする。
Oliviaの「let my love keep you safe now」は、相手を力ずくで制御する言葉ではなく、愛を受け取ってほしいという申し出としても聞ける。ただ、最後のサビも「don't rein me in」に戻る。Samの痛みが消え、二人が和解したとはまだ歌われない。相手に手を伸ばす声と、走り続けなければつらい声が並んだまま終わるところに、デュエット版ならではの余韻がある。
参照した資料
Sam Fender & Olivia Dean「Rein Me In」公式動画
Spotify「Rein Me In (with Olivia Dean)」
アイキャッチ画像クレジット:写真:Raph_PH「Sam Fender (2021) (cropped).jpg」(2021年8月13日、Boardmasters、ArturSikによる切り抜き)。出典:Wikimedia Commons/撮影者のFlickr。CC BY 2.0。変更:トリミング、リサイズ、彩度の低減、コントラスト調整、紺色グラデーションと記事用文字の追加。写真に写るのはSam Fenderのみです。Olivia Deanはデュエットのアーティスト名として表記しています。

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