The Chainsmokers「You Owe Me」和訳と深読み|脈を確かめる距離と、孤独が突きつける借り

You Owe Me / The Chainsmokersの歌詞解説記事カバー。紺色の背景に曲名と「脈を確かめてから僕を語って」、右側にザ・チェインスモーカーズのAlex PallとAndrew Taggartの実写写真。
写真:TechCrunch(The Chainsmokers(Alex Pall、Andrew Taggart))。Wikimedia Commons/CC BY 2.0。変更:トリミング、リサイズ、彩度・コントラスト調整、紺色グラデーションと文字の追加。

The Chainsmokersの「You Owe Me」は、世間が描く人物像と、本人の頭の中にある暗さを向かい合わせる曲です。自分について書かれたものを読むほど、その仕組みに力を与えてしまう。それでも孤独は記事の外側に残り、サビでは「脈を確かめて」という身体に触れる言葉へ変わります。

歌詞・和訳 / 歌詞を深く読む

歌詞・和訳

公式ミュージックビデオをYouTubeで見る

歌詞と和訳

Verse 1

I don't really say this that often

こういうことは、あまり口にしないけど

But there's somethin' that the papers forgot

新聞が忘れていることがある

Every time I read them, I know I feed them

読むたびに、向こうを勢いづかせていると分かってる

But I know, they're painting, but they can't leave a mark

向こうが僕の姿を描いても、傷跡は残せないと分かってる

'Cause my friends don't read the papers

だって友達は新聞を読まないし

And they don't really care if we're awesome or not

僕らがすごいかどうかなんて、あまり気にしない

So every time I read them, I know I feed them

だから読むたびに、向こうを勢いづかせていると分かってる

But I know, they wanna see me hang on the wall

でも向こうは、僕が壁につるされるのを見たがっているんだ

Chorus

You don't know me, don't you think that I get lonely?

僕のことを知らないだろ、僕だって寂しくなると思わない?

It gets dark inside my head

頭の中が暗くなる

Check my pulse, and if I'm dead, you owe me

僕の脈を確かめて、死んでいたら、君には僕への借りがある

If you're lonely, don't you think you're on your own?

君が寂しいなら、自分はひとりぼっちだと思ってるんじゃない?

When it gets dark inside your head

君の頭の中が暗くなるとき

Check my pulse, and if I'm there, you owe me

僕の脈を確かめて、僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

Verse 2

Say it to my face if you mean it

本気でそう思うなら、面と向かって言ってくれ

Say it to my face, but you won't

面と向かって言ってくれ、でも君はそうしない

I know I'm not losin', but I'm losin' my mind

負けてはいないと分かってる、でも正気を失いかけてる

Does anybody know what that's like?

それがどんな感じか、誰か分かる?

Chorus

You don't know me, don't you think that I get lonely?

僕を知らないだろ。僕だって寂しくなると、思わない?

It gets dark inside my head

僕の頭の中が暗くなる

Check my pulse, and if I'm dead, you owe me

僕の脈を確かめて、死んでいたら、君には僕への借りがある

If you're lonely, don't you think you're on your own?

君が寂しいなら、自分は独りだと思ってしまうんじゃない?

When it gets dark inside your head

君の頭の中まで暗くなるとき

Check my pulse, and if I'm there, you owe me

僕の脈を確かめて、僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

Bridge

Yeah, if I'm there, you owe me

そう、僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

Yeah, if I'm there, you owe me

そう、僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

You owe me, you owe me

君には僕への借りがある、君には僕への借りがある

You owe me, you owe me

僕への借りがある、君には僕への借りがある

If I'm there, you owe me

僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

Drop

Yeah, if I'm there, you owe me

そう、僕がそこにいたら、君には僕への借りがある

(If I'm dead, if I'm dead, if I'm dead, you owe me)

(僕が死んでいたら、死んでいたら、死んでいたら、君には僕への借りがある)

Chorus

You don't know me, don't you think that I get lonely?

僕のことを知らないだろ。僕も孤独になると、思わない?

It gets dark inside my head

頭の中は暗くなる

Check my pulse and if I'm dead, you owe me

脈を確かめて。僕が死んでいたら、君には僕への借りがある

If you're lonely, don't you think you're on your own?

君が寂しいなら、自分はひとりぼっちだと思ってるんじゃない?

When it gets dark inside your head

君の頭の中が暗くなったとき

Check my pulse, and if I'm there, you owe me

僕の脈を確かめて。そこに僕がいたら、君には借りがある

歌詞を深く読む

読んでしまう自分も、その視線を養っている

冒頭の「feed(養う)」は、新聞に自分を扱わせる材料や勢いを与える感覚につながっています。語り手は読むたびに相手を養っていると知りながら、また読んでしまう。自分の評判を確かめたい行動が、評判を作る側の力になるという循環が、同じ文の反復に閉じ込められています。

その循環をいったん切るのが友達の存在です。彼らは新聞を読まず、語り手たちが立派かどうかにもこだわらない。ここで示される親しさは、世間より高い評価を与えてくれることではなく、評価そのものを関係の条件にしないことです。それゆえ「傷跡は残せない」という強い言葉にも、守られている場所があると読めます。

ただし、壁につるされた自分を見たがるという次の像は、その安心をすぐに揺らします。描かれる人物から、壁に掲げられる対象へ。外から眺めて消費される人の姿が、そのまま生身の自分に重なる。傷跡は残せないという言い切りの後で脈を確かめろと求めるため、評判への反論には、生きた人として扱ってほしいという切実さが残ります。

勝っているのに、頭の中では負けかけている

二番では、面と向かって言えという要求が出てきます。書かれた評価と違い、対面なら言葉を受ける人間がそこにいる。ところが相手はそれをしないと続くため、この要求も実現した会話にはなりません。語り手は声を強めながら、応答してくれる相手の不在を同時に明らかにしています。

「負けていない」と「正気を失いかけている」は、同じ動詞をはさんで衝突します。外から見た勝敗がよくても、内面まで無傷とは限らない。前半の傷跡は残せないという発言を、ここで単純な強がりと切り捨てる必要もありません。評判を自分の価値にしない意志と、心が消耗する事実が、同時に成り立っているからです。

だからサビの問いは、知名度や評価の話を越えて「僕も寂しくなると思わないか」に届きます。頭の中の暗さには、新聞が扱える外見のような輪郭がない。それを語る本人が、どんな感じか分かる人を探している。攻撃的に聞こえる声の底に、経験を共有できる相手への切実な問いが残っています。

「借りがある」は、死と在席の両方に向く

サビの「借りがある」は、金銭や貸した物の明細を伴いません。脈を確かめ、死んでいたら借りがあるという並びでは、相手に自分への責任を突きつける響きが強くなります。評判を見て終わりにする距離から、生身の状態まで確かめろという要求へ、話しかける声が急に近づきます。

後半では暗い頭の持ち主が「君」へ移り、同じ脈の確認が「僕がそこにいたら」に変わります。自分の孤独を訴えた声が、相手の孤独の場にも姿を置く。死んでいる場合とそこにいる場合、そのどちらにも借りという言葉を使うため、関係は単純な救済にも、一方的な告発にも収まりません。

この反復が重いのは、相手を知らないまま判断する距離から、脈に触れられる距離まで一気に近づけるからです。壁の上に飾られた像では、心拍を確かめられない。語り手が要求しているのは、立派な人物としての承認より、生きて孤独になる人として関わること。その近さに伴う責任が、短い借りの言葉に何度も戻ってきます。

参照と出典

コメントをどうぞ